2025年8月4日月曜日

【有機水稲栽培①】有機水稲栽培のすすめ 栽培全体図

 【有機水稲栽培①】有機水稲栽培のすすめ 栽培全体図


はじめに、有機水稲栽培の行程を上図を使用して解説します。

上図はイネを栽培するための窒素肥料の施用方法を図解したものです。イネ栽培における窒素肥料の施用は、4回に分けて行われます。4回は、それぞれ意味があります。①秋ワラ処理は、窒素成分で4㎏/10aほどを施用し、収穫後のワラを発酵分解させて、ベースとなる地力をつくります。②基肥は、根・茎・葉をつくる窒素肥料です。基肥の量で分ケツ数を調整できます。施用は田植えの直前でも大丈夫です。水によく溶け、かつ即効性で良く効く窒素肥料でないとならないため、化学肥料よりもフィッシュソリブルのような抽出型アミノ酸肥料を使うのがおすすめです。③穂肥は、着粒数を増やす窒素肥料の追肥です。④実肥は、1粒1粒の重さを重たくするための窒素肥料です。基肥で葉と茎をつくり、理想的な分ケツ数を確保し、追肥を行うことで葉の中の葉緑体を延命させて、光合成能力を減衰させないという典型的な「V字稲作」の栽培手法をとります。麦の収穫は、しっかり熟させるので綺麗な黄金色になりますが、イネの収穫は、稲穂は白く乾いて垂れさがりますが、葉の色は黄緑くらいで、黄色くはなりません。収穫のその直後まで、しっかり光合成をしているという状態にします。

上図は、4段のピラミット型で表現されていますが、この4段ピラミットの形には重要な理由があり、土台がしっかりしていなければ、上に積んでいくことができないといううことを表現しています。①秋ワラ処理がうまくいくことで、②基肥の効きが良くなり、③穂肥がしっかり効くためには、基肥の窒素が確実に吸収されて、土壌中から切れていることが重要です。④実肥は、穂肥がしっかり効いて穂が長く、しっかり着粒数が多くなっていることが施用の条件となります。

秋という言葉は「空く」という言葉が語源と言われています。寒さに耐えれない植物は、枯れて冬ごもりをします。落葉する木々は、春のために芽をつくり冬眠に入ります。幹の中の水を空にして凍らないようにし、土の中の根に栄養を蓄えます。

有機水稲栽培は、収穫の直後からはじまります。お米を収穫したとき、田んぼには、お米の収穫量の1.5倍も重さのワラがあります。このワラを発酵分解して、翌年のお米づくりのための地力にします。秋にワラを発酵分解処理するので「秋ワラ処理」と呼ばれます。収穫後直後のまだ、本格的な冬を迎える前の、まだまだ暖かい時期に、発酵鶏糞などで窒素を適切に補い、土壌分析を行い足りないカルシウムやマグネシウムがあれば、肥料で適切に補います。トラクターで耕起して、切りワラを土壌に浅くすき込み、好気発酵させます。

冬という言葉は「殖ゆる」が語源と言われています。殖産振興の殖の字を当てます。昔の人が考えた増えるものは魂です。冬は寒く、生命活動が停止しますが、その静けさの中で、目には見えない魂が増えて、生命が爆発的に増える春となるのです。

冬の間に降る雨や雪は、土壌の栄養成分を溶かして、深くまで拡散させます。目には見えませんが、土壌中の発酵菌の働きにより、土壌はミクロの世界で耕かされていきます。菌が耕すので「菌耕(きんこう)」と呼ばれます。ワラのセルロースが分解されて、糖や有機酸になり、水に溶ける状態の水溶性炭水化物になって、土壌へ浸透していきます。

春という言葉は「張る」が語源と言われています。生命の泉からとめどもなく生気が溢れ出てきて、みずみずしく張るのです。

イネは夏の作物です。原産地は東南アジアで、本来は夏至を過ぎて、昼間が短くなることを感じて登熟する短日植物です。それが温帯の日本の風土に根付いて、温度が上がることで登熟するように進化したのがジャポニカ種です。よって日本のお米づくりは、まだ寒いのではという、イネにとってギリギリ生きていけるという春にはじまります。芽出し、苗づくり、田植えは、むしろ寒さを利用して行われます。そして、寒いので、寒くても良く溶けて、確実に効く窒素肥料が必要になります。そこで化学肥料よりもフィッシュソリブルのような抽出型アミノ酸肥料の方が良く効くため、有機栽培が有利になるのです。

夏という言葉のは「撫でる」が語源と言われています。古代の人は、人型に切り抜いた紙を体に撫でつけて、体の中の悪霊を人型に移して、川に流したり、焼いたりして、払ったそうです。湿度が高い日本の夏の暑さは、体力を奪い、食べ物を腐りやすくし、水を腐らせて、疫病をもたらします。

イネという植物は、旺盛に根を伸ばし、根が届いた範囲の土壌の栄養成分を根こそぎ吸い上げるという植物です。イネの根は健全なら、毎日2cm進伸します。旺盛に水を吸い上げるので、田んぼの水面は1日に2cm下がります。そしてイネの葉から蒸散する水分によって田んぼは、周囲よりも2℃ほど温度が低くなります。

勢いがあるイネの、その勢いを削ぐことなく、スムーズに伸ばしてやることが重要です。そしてイネは葉と茎をつくるだけで、土壌中の窒素をすべて使い尽くしてしまうので、穂肥、実肥と人間の方で、2回、窒素を追肥して、葉の色を濃いまま、光合成能力を低減させないように、収穫するその日まで、しっかり光合成させて、しつこくデンプンをつくらせるのがよいです。



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